屋久島の昔話 2
屋久島ツアーで人気のある屋久島の昔話に、「大鹿の湯」というものがあります。
その2です。
手負いの鹿は赤い血を点々と残して逃げて行きます。
やがて、かけもどってきた犬といっしょに血のあとをたどって行くと、密林の奥深く、清水がわくところに来ました。
と、犬がタブの木の根もとから崖下めがけてさっととびだしました。
猟師がタブの木の枝につかまりながら崖下をのぞくと、なんと、さっきの手負い鹿がほのぼのと湯気の立ちのぼる泉のほとりに、血まみれになってたおれているではありませんか。
猟師が崖をはいおりて行ってみると、鹿はかすかに息をしながらたおれたままです。
すばらしい毛なみと、三つまたの大角に見とれていた猟師は、次の瞬間、無限に悲しそうな鹿の目を見て、急にかわいそうになってきました。
そこで、傷口を泉の湯で洗い、手当てしてやったところが、大鹿はしだいに元気をとりもどしてきました。
湯つぼには、鹿の角や鳥の羽毛が浮き沈みしています。
傷ついた鹿や鳥たちは今までここに来て傷をいやしていたにちがいありません。
猟師はそれ以来、ぷっつりと鹿狩りをやめて、わずかばかりの畠を耕してくらしました。
そして、三岳のふもとの密林の奥にある温泉を人びとにも教えてやり、それから尾之間温泉が広く利用されるようになったということです。
おしまい。
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